2022-12-27
長らく、価格が高騰し続けている不動産市場。しかし、2023年にはこの動きに転換が見られるかもしれません。とはいえ、過度に悲観する必要はありません。市場で起こっていること、これから起こる可能性があることを知れば、落ち着いて不動産の売り時を見極められるはずです。
▼2022年の総括についてはこちらの記事で解説しております!▼
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2022年総括の記事でも解説した通り、不動産価格は高騰を続けています。そもそも「不動産バブル」ともいえる今の状況を作り出したのは、低金利にあります。
2013年、アベノミクスの中核を担う政策として始まった、金融緩和。仕掛け人である日本銀行の黒田総裁の名前をとって“黒田バズーカ”といわれることもありますが、この政策によってローン金利はどんどん下がり、不動産価格はどんどん高騰していきました。
(出典:住宅金融支援機構)
約10年間にわたる金融緩和政策により、住宅ローン金利はどんどん下がっていきましたが、2022年には固定金利に若干の高騰基調が見られています。この要因は、米国の利上げです。固定金利は、日本の長期金利の影響を受け、日本の長期金利は金融大国である米国の金利に影響を受けます。米国は深刻なインフレを抑制すべく、2022年から金利を引き上げました。これにより、日本の固定金利にも上昇がみられているのです。
米国の住宅ローンの固定金利は、2022年に一時7%を超えました。これほどまで上昇しているにも関わらず、日本の固定金利はせいぜい0.3%ほどしか上がっていません。この要因は、日本銀行が長期金利に上限を設けているからです。
しかし、2022年12月には、日銀が長期金利の上限を0.25%引き上げ、0.5%にすることを発表。上限が引き上げられたことにより、米国からの影響も強まります。よって、2023年にはさらに日本の住宅ローン金利の固定金利が上昇することが見込まれるのです。
固定金利がじわじわ上がる中、変動金利はいまだ0.3%台で借り入れられるなど“史上最低”ともいえる水準を維持しています。この理由は、変動金利と固定金利の仕組みが異なるからです。固定金利は長期金利の影響を受けますが、変動金利に影響するのは金融政策。日本は長期金利の上限を引き上げたものの、金融緩和を継続しています。
ただ、それも「2023年4月までではないか」といわれています。それは、4月に黒田総裁が任期満了を迎えるからです。異次元緩和政策“黒田バズーカ”を推し進めていた張本人が退くことで、日本の金融政策にも転換がみられ、変動金利も上がる可能性があります。
「住宅ローン金利って不動産を買う人だけの問題なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は売主にとっても大きな問題です。先のとおり、不動産価格の高騰は金利の低下が下支えしています。つまり、金利の上昇は、不動産価格の下落にもつながりかねないのです。
金利が下がれば不動産価格が上がる。金利が上がれば不動産価格が下がる。これが、市場の原理です。当然ながら、金利が上がれば同じ借入金額でも返済額が上がります。よって、金利が上がれば、予算を下げたり不動産の購入を見送ったりする人が増えるものと推測されます。
2023年には金利の上昇も見込まれますが、米国のように住宅ローン金利が6%、7%になることはないと考えられます。というのも、日本のインフレ率は欧米諸国と比較すれば小さいものであり、そもそも賃金も上がらない、国債も大量に発行しているという中、金利を上げたくても上げられない理由があるからです。金利の上昇によって一定率、不動産価格は下がるかもしれませんが、それは加熱しすぎた市場が落ちつき、高騰しすぎた不動産価格が平常運転に戻るといった程度だと推測されます。
金利が上がれば、不動産価格が下がる。これが市場の原理ですが、全ての不動産が一律に価格を下げるわけではありません。金利上昇の影響が大きい不動産、小さい不動産。価格が大幅に下がる不動産、あまり変わらない不動産。この二極化が見られるものと予測します。そもそも、日本の不動産市場ではすでに市場の二極化が進んでいます。ここ数年見られている高騰基調についても、全ての不動産に見られているわけではありません。高騰しているのは、首都圏や利便性の高い一部不動産が中心で、地方の空き家の価格が上がったなんてことはありません。人口減少や少子高齢化、空き家問題がどんどん深刻化する日本において、売れる不動産と売れない不動産の二極化は進行していくものと考えられます。
2022年末には、2023年度税制改正大綱が発表されました。税制もまた、不動産売買や不動産の所有に無縁ではありません。今回の改正ではNISAの恒久化や拡充ばかりが取り沙汰されていますが、不動産に関連することも少なからず改正されています。
(出典:国税庁)
相続税対策と不動産は、密接に関わっています。現金を相続税評価額の低い不動産に変えて相続することで節税になるからです。2023年度税制改正では、相続税対策、そして生前贈与の仕組みが変わりました。
資産家の方はとくに、暦年贈与の非課税枠を活用した生前贈与を検討されていることでしょう。要は、毎年、贈与税の基礎控除額である110万円を超えない範囲で贈与するということです。ただし、これまで相続から遡って3年間の贈与は相続資産とみなされることになっていました。これは、相続税対策としての贈与を取り締まるためです。
2023年度税制改正では、この年数に改正が見られました。これまで相続から遡って「3年間」の贈与が相続資産とみなされていましたが、この期間が「7年間」に延長します。これにより、いわゆる「駆け込み贈与」がしにくくなるものと考えられます。
(出典:国税庁)
一方で「相続税精算課税制度」にも改正が見られました。この制度により、2,500万円までの贈与が非課税になり、これを超えた場合は一律20%の相続税が課せられます。とはいえ、贈与した資産は相続時に精算することになりますので、一定の資産を生前贈与したい人に限って有効な制度です。
相続税精算課税制度は、これまで110万円未満の贈与の非課税枠が使えず、110万円未満の贈与であっても確定申告が必要でした。この点が、2023年度税制改正によって110万円までの贈与なら非課税かつ確定申告も不要に。制度が簡略化し、贈与税の非課税枠が使えることになったことから、生前贈与したい方にとっての利便性は高まるものと考えられます。
(出典:国土交通省)
相続した空き家を売却し、譲渡所得(≒売却益)が出た場合には、所得税と住民税が課せられます。しかし、一部の相続空き家については「3,000万円特別控除」が適用となり、譲渡所得が3,000万円まで非課税になります。ただ、この制度の対象物件は限定的で、昭和56年5月31日以前に建築された空き家を解体、あるいは耐震リフォームしたうえで売却しなければなりません。
控除額が大きい制度ですが、解体や耐震リフォームは相続人にとっての大きな手間であり負担となります。そこで2023年度税制改正により、対象物件が拡大しました。これまで売主が“売却前”に解体、あるいは耐震リフォームをしなければなりませんでしたが、今後は空き家の買主が同様の工事をすれば控除の対象となります。
2023年には、住宅ローン金利の上昇が見られる可能性があります。これまで約10年間続いた低金利に変化が見られれば、不動産価格も下落するおそれがあります。ただし、その影響はエリアや物件種別、物件の状況によって大きく異なるでしょう。需要が高い不動産は金利上昇の影響が少なく、その逆も然りであると考えられます。
2023年は、不動産市場が大きく変わるかもしれません。成田市の不動産の売却を検討されている方は、どうぞお気軽にハウスドゥ!成田山店にご相談ください。
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2022-12-25