一括査定の落とし穴!「高預かり」って何?

2023-03-31

一括査定

一括査定の落とし穴!「高預かり」って何?

不動産を売るには、まず不動産会社に「査定」を依頼します。最近では、複数の不動産会社に一括で査定依頼ができる一括査定サービスが増えていますが、一括査定を利用するときには「高預かり」に気をつけなければなりません。


不動産の査定額は高いほうがいい?


3社に自宅売却の一括査定を依頼し、このような結果が出た場合、どの不動産会社を選びますか?


  • A社:3,000万円

  • B社:2,900万円

  • C社:3,800万円


「C社」と答える方が多いかもしれませんね。しかし、不動産会社に査定依頼する際には「高預かり」に注意しなければなりません。不動産の一括査定ではとくに、高預かりが散見されます。

高預かりとは?

高預かりとは、実際の査定額より高い金額を提示して選んでもらおうとする不動産会社の営業手法です。売主の「高く売りたい」という心理をたくみに利用した、悪質な手法だといえるでしょう。


不動産会社の目的は、売買を成立させて仲介手数料を受領することです。しかし、その前に売主と「媒介契約」を締結しなければ、物件の売却を任せてもらうことはできません。高預かりをする理由は、高額な査定額で売主の気を引くため。その裏には「媒介契約さえ結んでもらえば……」という思惑があるのです。


上記のケースで「3,800万円」と査定したC社。もちろん、査定の根拠が示されていて納得できるものであれば問題ありませんが、比較事例がない。相場情報も提示しない。売却方法も説明しない。……このような場合は「査定額が高いから」という理由だけで不動産会社を選ぶことはおすすめしません。

高預かりの末路

査定額を大幅に上回る金額で売り出すと、次のようなリスクがあります。


  1. 高すぎる価格から購入検討者に不信感を植え付けてしまう

  2. なかなか売れず不動産会社から値下げを提案される

  3. すでに市場からの不信感があるため相場価格まで値下げしても売れない

  4. 相場を下回る金額でやっと売れる


つまり、高預かりをされてしまうと、売却に時間がかかり、逆に相場を下回る金額でしか売れない恐れがあるのです。


不動産売却における「査定」の意味を改めて考える


ここで改めて、不動産売却における「査定」の意味を考えてみましょう。

「査定額=売れる金額」ではない

不動産会社から高額な査定額を提示されれば、多くの方は「嬉しい!」と感じることでしょう。しかし、不動産売却における「査定」とは、その金額で売れると保証された金額ではなく、あくまで不動産会社が推測する「売却予想額」ということを忘れてはいけません。


ブランドバックを中古品買取業者に売却することを思い浮かべてみてください。この場合「20万円で買い取りますよ」と言われれば、20万円で売却できます。これは、実際にブランドバックを買い取る当事者である中古品買取業社による「買取査定」だからです。


一方、不動産売却では、買主ではなく不動産取引を仲介する不動産会社が査定します。不動産売却でも買取査定が行われるケースはあるものの、これは不動産会社自らが買い取る場合に限られます。不動産会社の仲介によって売却する場合の「査定額」は「売れる金額」ではないということは必ず念頭に置いておきましょう。

高く売却するために必要なのは「適正」な査定

不動産を高く売るために必要なのは、高額査定ではありません。“適正”な査定を起点に、どう売っていくかを考えてこそ、不動産を高く売ることができるのです。


危険なのは、不動産の価値を見誤ってしまうこと。高預かりされたうえで売り方を検討していくと、市場の評価や反響との整合性が取れず、先ほどお伝えしたように逆に相場を下回る金額でしか売れなくなってしまうことになりかねません。


不動産の売却査定で見るべきポイント


査定額には「高さ」ではなく「適正さ」が求められるというのは、ここまでの通りです。では、不動産査定の際には、具体的にどんなところをみて「適正さ」を見極めればいいのでしょうか?

1.査定の根拠

査定は“診断”のようなものです。「レントゲンで骨が折れているから骨折」「喉が赤いから風邪」……このように、診断には診察が伴います。根拠のない査定は、診察のない診断と同じ。不動産会社に査定してもらう際には、査定額以上に査定の根拠に着目しましょう。


不動産会社は、類似物件の過去の成約価格や競合物件の販売状況、立地、管理状況、リフォーム歴などさまざまなことを多角的かつ相対的に見て不動産を査定します。


  • どのような事例を参考にしたのか?

  • なぜその事例と比較したのか?

  • 事例と比較してどのような点がプラス/マイナスか?


このようなことまで、しっかり確認することが大切です。

2.売却戦略

不動産会社に査定依頼をする目的は、単に査定額を知るだけではなく、不動産会社の比較にあります。ここまでの通り、比較対象は査定額そのものではなく、査定の根拠であるべき。加えて、各社が提案する売却戦略も比較の対象としましょう。


売却戦略とは、たとえば次のようなことをいいます。


  • 査定額を踏まえた売り出し価格

  • 値下げするタイミングと金額の目安

  • 最終的な売却見込み額


売主が希望する金額やスケジュールを知ってこそ、具体的な提案ができます。戦略を練るということは、しっかり売主の言葉に耳を傾けている証拠であり、不動産会社の腕の見せ所です。査定の段階でここまで考えてくれる担当者は、信頼できるとも判断できます。

まとめ

査定額が思ったより高いと「こんなに高く売れるんだ!」と舞い上がってしまうかもしれません。しかし「査定額=売れる金額」ではないことはあらかじめ認識しておきましょう。


もちろん予想以上に高く売れることはありますが、ぬか喜びで終わらないよう、査定額とともにその根拠や不動産会社が提案する売却戦略に目を向けることが大切です。


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